愛すべき母親のはなし

 昨日は実家に「いた」犬のことを書きましたので、今日は実家に「今もいる」母親
通称"オカン"のことでも書きましょう。

 ウチのオカンは、家事万能、貞淑、性格は明るく、主婦の鑑のような非の打ち所
のないひとなのですが、ひとつだけ気になる点が・・・・・・。

 ずばり、天然ボケなのですね。

 それはそれで、ほほえましくて一服の清涼剤のような感じはするのですが、これ
がすばらしくツッコミどころ満載。「それでな」のひとことで1光年ぐらい話が飛ぶ
し、いきなり訳の分からないことをするし。
 その中でも最大にして最強のエピソードを一つ。

 ある日、仕事を終えて自宅に帰ると、オカンからの留守番電話が入っていました。
 うちのオカンは留守番電話が苦手らしく、必ず最初に「おかあさんです。元気にし
てますか?」というのを常套句にして、その間に何を言うかを整理する癖があるよう
で、この日の伝言も、その常套句から始まっていました。

「もしもし? おかあさんです。元気にしてますか?」

(おうよ、何も考えずに生きてるから元気だぞ)

「おとうさんが轢き逃げされました」

 携帯電話を握り締め、実家に電話をする俺。コール音。
 
 (早くつながれ!)

 焦燥の汗をぬぐった瞬間、つながった。

「もしもし? ●●(俺)ですけど。」
「はいはい」
「何じゃあの電話は?! 順番が逆やろ! 俺の心配してる場合か!重要な用件は先に
言え!!」

 えー・・・・・・、俺もツッコミが先かい。
 似たもの親子かもしれない。


 この話、実は後日談がありまして、ついでにご紹介。

 母方の祖母が、危篤に陥った時のこと。
 今度は携帯電話の留守電に以下のようなメッセージが。

「もしもし? お母さんです。おばあちゃんが倒れて入院しました。連絡ください」

 何?! それは一大事! すぐにでも電話をかけねば、と思い伝言を打ち切ろうと
したその時、

「今度は順番間違えへんかったやろ?」

 すぐに電話をかけて言ってやりました。

「やるな、オカン。で、ばあちゃんはそんなに危ないんか?」

 二人とも、緊張感がないなぁ・・・・・・。やはり似たもの親子です。大阪人の血
かも。

 まぁ、以上の通りボケボケですが、そんなオカンが大好き(笑)。
 ※マザコンではありません、念のため。

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 親子の名誉のために言っておきますが、かなりの危篤状態の報を聞き、俺は仕事を
放り出して、すぐに会社を早退し、実家へ直行。オカンは泣きそうな表情で私を迎え
ました。
 言葉の上では緊張感がなくても、オカンも俺も、本気で心配していました。

 オモシロ話のつもりで書いたのに、蛇足でしたかね・・・・・。