森博嗣「Θ(シータ)は遊んでくれたよ」
ひさびさの森博嗣新刊。何か、Gシリーズの割には、萌絵と犀川の主張が多いように感じ
たなぁ。やは、ちょっと外れた会話の妙は見事です(悪い意味ではないです。「そこでそう
来るか?!」という飛躍感が楽しい)。あと、森博嗣作品を読んでいて思うのは、文字と会
話の齟齬を常に意識しているなぁ、ってこと。今回も「倒錯」と「盗作」とか、ネタに使わ
れているし。こういう言葉遊びは、ジョークの第一歩だと思っているので、非常に楽しい。
内容にはあえて触れませんが、今回はワトソン役の加部谷嬢の活躍が少なかったことも
あり、全体として、事実の把握から、急転直下で結末に至る感じがしましたね。もうちょっ
と膨らませても良かったのではないかな、という印象。
でも、決して面白くないわけじゃないです。会話の妙は、やはり見事ですし、他シリーズ
との絡みもそこら中に散りばめられていて、他を読み返したくなりました。
・・・・・・・・・・なるほど。改めて思うと、色んな意味でうまいなぁ(笑)。