ばらの騎士

 R.シュトラウスばらの騎士」を見ました(いや、祝日にね)。
 id:lutehr_osake氏から借りたDVDで。

ばらの騎士*歌劇 [DVD]

ばらの騎士*歌劇 [DVD]

 どうやら調べてみたところによると、同じカルロス・クライバー指揮でも、バイエルン
組んだ旧盤と、ウィーン・フィルと組んだ新盤というのがあるようです。

 今回は、その旧盤(だと思うww)

 うわさには聞いていましたが、シュトラウスの美しい(凄まじく演奏が難しい)音楽をクラ
イバーの流麗な指揮が踊るように料理していく様は、聞いていて圧巻(CDのカラヤン版は
聞いていたのですが、クライバーのはテンポが圧倒的に早く感じたなぁ・・・・)。
 amazonなどのレビューにもあるとおり、歌手の起用にはちょっと不満があるかも。

 マルシャリンが嘆く時の流れの残酷さと、ゾフィーの若々しさが対極に置かれる構造であ
るにもかかわらず、舞台上の二人はほぼ同年齢に見えてしまいます。演技力で巧みにカバー
できているといえばできていますが、やはり映像というのは正直なもので、顔を見分けられ
るほどに綺麗に映してしまいます。舞台で見れば、それほど気にならなかったかもしれない。
 しかし、歌は全体的にハイレベル。CDでBGMにしたいぐらい。

 やはり、見所はオックス男爵です。エロオヤジ以外の称号は考えられないほどオイシイ!
 女と見ればセクハラし、そのセクハラがいずれは女たちの幸せに繋がるのだと本気で思っ
ている傍若無人ぶり。しかし、剣で斬られると大騒ぎしてしまったり、動きがコミカルだっ
たりして、どことなく憎めない。この役はとても難しいだろうなぁ・・・(??)。

 最後に演出面ですが、非常に凝った大道具作り。奈落からの穴も使えば、二階窓まで作っ
てある。
 芝居に関して言えば、オックスは先ほど述べたとおり、歌よりも芝居を重視して演出がつ
けられているように感じました。エロ笑いがすばらしい(笑)。
 白眉はマルシャリン。美しく、凛とした雰囲気と残酷な時の流れへの悲しみを十分に表現
しきっていると感じました。
 特に印象に残ったのは一幕の最後に鏡を見つめ、鏡に手で蓋をし、目を逸らしてしまう演
技と、三幕終盤、オクタヴィアンをゾフィーの元に残し、去ってゆく時の「絶対に振り返ら
ない」という気持ちが見えるような後姿。
彼女の人間としてのやさしさと、女としてのプライドが垣間見えた気がしました。

 ダメだ。新盤も見たくなってきた・・・・・・・。