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- 作者: 北森鴻
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/05/12
- メディア: 文庫
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買って二日で文庫本400ページを読みきりました。淡々としていながら、テンポが
良い小説だと感じました。
感想としては、
①贋作を取り扱った小説で、その描写が非常に精緻なこと。
②骨董業界という、非日常的なものを分かりやすく描けていること。
③主人公の女性骨董商が、凛とした印象を与えており、それが物語自身の爽快感
を高めていること。
上記、①だけでは非常に重々しく、ダークな印象を与えます。
しかし、この小説は、主人公がまずある同業者から贋作を買わされ、買った相手に
他の贋作を買わせることによって、借りを返そうとするという構造。そして③の主人
公が非常にさっぱりとした性格の、凛とした印象を与える女性であるということが、
物語に爽快感を与えていると感じました。
確かに上記の流れが大きなところを占めるものではありますが、その他にも当然傍
流がたくさん流れており、最終的にはそれが一つの流れに織りあわされます。ここで
はあえて述べませんが、骨董品の世界の非日常性と、骨董品や贋作に関する精緻
な描写を味わうだけでも、文庫本一冊の元は取れるのではないかなぁと思いました。